これまで、私は司法試験の二次試験の論文式試験の憲法第1問の過去問をみてきた。
検討した過去問は平成元年度から平成20年度(合格した年)の20問である。
そこで、15年振りにこれらの過去問を見直した感想を残しておく。
1、過去問検討の大変さ
現段階で20問の検討を終えた感想を述べるならば、「疲れた」と「なんとかやり切れてホッとしている」ということになる。
さらに言えば、「ここまでの作業になるとは考えていなかった」を付け加えてもいい。
この企画を始めたのが令和3年の3月、ブログを開設した直後である。
だから、私はブログを始めてからこの企画をずっとやっていたことになる。
そりゃ、「長かったー」と考えるのも無理はない。
でも、考えてみれば、当然である。
旧司法試験の二次試験の論文式試験は全部で12問。
そのうちの1問であるとはいえ、20年分見直せば、相応の量になる。
20年を10年にしておけばよかったなあ、と考えないではない。
もちろん、検討したかった過去問は平成元年から10年にもあったので、現実的には10年にすることはなかっただろう、とは考えているけれども。
2、過去問検討の重要性
次に、今回行った20年間の過去問検討は、合格をする前に行っていた私が行っていた過去問検討よりも深いレベルになっていた。
私は合格前にこんな検討をした記憶はない。
それゆえ、20年分の過去問を条文と定義と趣旨と判例を踏まえて検討すれば、当時の旧司法試験の二次試験の論文式試験には確実に合格できる、と言えるだろう。
もちろん、現在の予備試験や新司法試験においても同様のことがいえるのではないか、とも。
ただ、これが全科目についてできるかどうかは相当難しいだろう。
当時の司法試験に比較して今の司法試験は範囲が広くなったことを考慮すれば、今の方が難しいとすらいえる。
また、2008年の段階で考えても、ここまでやる必要があったとは到底言えない。
仮に、定義・趣旨・条文・判例に関する知識の習得などを他の部分で補うのであれば、5年でも十分ではないか、と考えられる。
3、判例の重要性
「こんなことを判例で言っていたのか・・・」と確認させられたことが多かったからである。
ただ、その重要性を確認できたのは、合格後に出版された次の本のおかげである(引用先は最新の版、私が見た当時の版はもっと前のもの)。
「判例の背後にここ本で述べられたロジックがある」という前提知識があったため、判例を確認した効果は高まった。
当時の学んでいた憲法判例に対する理解その他だけでここまでの成果が挙げられたかは相当微妙である。
そのように考えると、今回の検討におけるこの本の価値は大である。
4、日本教との関係について
ところで、このブログで司法試験の過去問を検討した理由は、憲法をめぐる日本教の現れを見るためである。
だが、問題の検討の方に熱中してしまい、日本教との兼ね合いについてはあまり検討できなかった。
しかし、あちこちに日本教的なものを感じとることはできた。
例えば、猿払事件から。
それから、津地鎮祭訴訟から。
あるいは、尊属殺重罰規定をめぐる最高裁判所の判決から。
特に、猿払事件から感じた日本教的なものについては非常に印象深かったため、「『猿払事件最高裁判決に対する批判』を日本教的観点から見る」という形でまとめてみようかと、とは考えている。
5、その他の科目について
なお、憲法第1問についてやったのだから、憲法第2問やほかの科目についてやってみるのはどうか、という考えはなくはない。
しかし、現段階ではやる予定は全くない。
というか、憲法第2問について同じように20問を見直すことは無理としか言いようがない。
まして、他の法律については言うに及ばず、である。
確かに、見直すことで得られるものはあるのだろう。
しかし、今年はブログの記事120個を書き切ること自体が大変であった。
つまり、来年、年間120個の記事を書き切れるかどうかは極めて微妙である。
また、日本教との兼ね合いを検討することは考えていたよりもできていない。
つまり、過去問を検討すると、憲法学や法律学の方に踏み込んでしまい、社会学的な方向にはあまり踏み込めないようである。
そのため、日本教的なものの検討・分析をするならば、別の題材を選んだ方がいいのではないか、と考えている。
専門的な方向に突貫しなくても済むような何かに。
以上で、このシリーズを終了する。
このシリーズを初めてから終わるまで約2年と10か月、やるべきことをやってから終えることができてホッとしている。
もっとも、このようなシリーズとしての検討は今後は難しいかもしれない。
あと、今年1年、なんとか120個の記事を書き終えることができた。
来年も120記事書けるかどうかは微妙である。
だから、来年は記事の総数を120から少し減らそうか、と考えている。
また、今後は、当分の間は読書メモを作っていこうと考えている。
精読したい書籍はまだまだあるので。
それでは、よいお年を。