薫のメモ帳

私が学んだことをメモ帳がわりに

「AML/CFTスタンダード」の資格を取得する 後編

 今回はこの記事の続き。

 

hiroringo.hatenablog.com

 

「AML/CFTスタンダード」を得るための勉強や試験を通じて考えたことを書き残していく。

 

6 試験の難易度について

 試験の難易度を考慮した場合、この試験はそれほど大変な試験ではなかった。

 後付けではあるが、3回まで受けられる(3回のうち1回受かればよい)のであれば、問題集を解く必要すらなかったのではないか、という感想を持つほどであった。

 もちろん、試験の出題分野にマネロン全体やFATFなどがある以上、問題集を解くことと合格との間に実質的関連性(相当性)があるとしても。

 

 

 この点、令和元年以降に取った9つの資格の中で個人的にランクをつけるならば、次のようになるかな、と考える。

 なお、「それなりの壁」は一夜漬けによる勉強、二夜漬けによる勉強(金曜日と土曜日の夜を利用したもの)、または、スキマ時間を利用した計画性のない勉強で合格したか、それ以上の時間をかけたり、計画性を立てて勉強したかの違いである。

 また、壁の範囲内ではそれほどの難易度の差はない、と感じている。

 

 Pytyhon3エンジニア認定基礎

 統計検定2級

 AML/CFTスタンダードコース

 ビジネス実務法務検定試験_2級

 3級_ファイナンシャル・プランニング技能士

 2級_ファイナンシャル・プランニング技能士

(それなりの壁)

 日商簿記検定試験3級

 基本情報技術者試験

 日商簿記検定試験2級

 

 当然だが、この試験の難度には「私の事前知識、実務経験、試験の順番その他」がものをいっているため、一般化できるようなものではない

 例えば、FP3級とFP2級にそれほどの差を感じていないように見えるが、これは3級を取得した数か月後に2級を取ったという事情があるからである。

 まあ、それを言い出すと簿記3級と2級の関係も同じなのだが。

 

7 試験勉強などに関する感想

 ところで、万一、「試験に受かるためのアドバイス」を求められた場合、私は次の3点を掲示しようか、と考えている。

 

①、問題は正確に読まないといけない

②、適用範囲を厳格に考えなければならない

③、具体的な根拠を意識しなければならない

 

 以上の3点は、試験の勉強を通じてその重要性を感じたところである。

 以下、マネロン以外の例を用いながら、どういうことかを説明する。

 

 

 まず、①問題は正確に読まないといけないというのは当然である。

 文章は箇条書きになっていないので、論理関係がぱっと見ただけでは分からない場合がある

 また、「及び」と「また」、「否定」と「肯定」、「~の前」と「~の後」を取り違えてしまったら、誤答してしまう。

 だから、この辺の取り違えには十分気を使わなければならない。

 この点は事務処理能力から見ても重要である

 

 

 次の②適用範囲を厳格に考えなければならないについて。

 これは次の問題を用いながら説明していく。

 

 とりあえず、次の文章(「命題」と言う。)の正誤を判定してほしい。

 

(命題)「憲法刑事訴訟法では、身体拘束されていない場合を除き、被疑者には黙秘権が保障される」

 

 この命題を判断する場合、適用除外の条件となっている「身体拘束されていない場合を除き」の部分が正確かどうかも判断しなければならない。

 そして、憲法38条1項は「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」と規定されており、身体拘束の有無を問わず黙秘権を保障している。

 そのため、この命題は誤りということになる。

 

 逆に、正確には一定の除外条件があるにもかかわらず、その除外条件がないような命題はちゃんと「誤り」と判断しなければならない

 例えば、次の命題の正誤を考えてみる。

 

(命題)「昭和60年11月21日の最高裁判所判決(昭和53年(オ)1240号)によると、立法不作為が国賠法上違法になることはない。」

 

 この判決はいわゆる在宅投票制度の廃止に関する立法不作為国賠訴訟事件である。

 また、この判決は立法不作為が違法になる場合を事実上否定した判決として有名である。

 

 とはいえ、上の命題は誤りである。

 何故なら、「(中略)容易に想定しがたい例外的な場合を除き」という留保がついているからである。

 つまり、この判決を勝手に忖度して、「この例外は一応書いた程度のものに過ぎないから、最高裁判所が立法不作為を違法と解釈することはない」と判断してしまうのは、その想像が合理的なものであるとしても誤りということになる。

 その意味で「忖度は禁物」とも言いうる。

 

 

 最後に、③具体的な根拠を意識しなければならないについて。

 試験問題には「何々において次の内容の正誤を判定して、(以下略)」とあるため、実務上の結論が正しくてもその根拠が誤っていれば、正誤の判定においては誤りになる

 つまり、通達やガイドラインによって義務になった場合、「法律によって義務づけられている」と書かれていたら、それは間違いになる

 実務上は義務になっているとしても、である。

 その辺は実務経験を考慮して結論を出すと混乱しやすくなるので、注意が必要である。

 

 

 以上、マネロンの資格のために一夜漬けをして、試験に合格した。

 その過程で色々なことが分かったのは良かったと考えている。

 

 そうえば、TOEICを取ろうと考えていた点は諸事情により中断となった

 もっとも、社会生活上の要請に従い、別の資格を取ろうとは考えている。

 

 では、今回はこの辺で。