0 はじめに
私は、最近、マネー・ローンダリングに関する勉強を始めている。
この勉強は実社会生活上の要請に迫られてのものである。
そこで、勉強の成果を一定の形にするべく、何らかの資格を取っておこうと考えている。
まあ、現実の社会生活でこの知識を活かすのだから、資格など取らなくても充実したアウトプットは実現されるであろうけれども。
さて、現時点で取得しようと考えている資格は次の資格である。
この「AML/CFT」というのは、「アンチ・マネー・ローンダリング」と「カウンティング・ザ・ファイナンス・フォー・テロリズム」のことを指す。
前者は「反・資金洗浄」のことであり、後者は「テロ資金供与対策」である。
この点、マネー・ローンダリング対策を始めた当初は「麻薬犯罪対策」として始まった。
しかし、その後に「組織犯罪対策」が加わり、間もなく「テロ資金供与対策」が加わっている。
このようだと、今後も様々な目的が加わっていくだろう。
そして、私はこの資格を12月から2月までに取ろうと考えている。
それほど苦労すると考えていないが、適当に勉強して不合格になったらそれはそれであれなので。
また、これまでの資格勉強と異なり、一夜漬けは使えないと考えられるので。
ところで、私はマネー・ローンダリングに関して次の教科書を図書館から借りて読んだ。
この教科書を読むのに非常に苦労したが、なんとか読むことができた。
なんとかマネー・ローンダリングの概要をつかんだ感じである。
それから、試験対策として次の問題集を購入した。
こちらはさくっと解いていく予定である。
それほど厚いわけでもないし。
1 条文の素読と整理
さて、資格の勉強、というのであれば、上の教科書を読み、上の問題集を解けばいい。
そして、このブログでは「勉強しますっ」と宣言して終わり、ということになる。
ただ、勉強の際に、通称「犯収法」(犯罪による収益の移転防止に関する法律)と関連法令を読んだが、いまいち条文がわからない。
そこで、このブログで条文の素読・整理をすることで、法令の条文の理解に努めようと考えている。
この点、犯収法に関連する法令は次の3つである。
附則を除いた場合、犯収法が32条、犯収法施行令が38条、犯収法施行規則が36条ある。
施行規則まで含めて合計106個、憲法の条文数と大差ない。
もちろん、憲法よりもはるかに複雑であることは間違いないが。
また、私にとって法律だけではなく施行令や施行規則について本格的に見るのは初めてである。
そこで、このブログで「犯収法と関連法令の条文の素読し、整理した結果をメモに残す」という作業はそこそこ有益ではないか、と考えている。
まあ、どのように読んでいくか、現段階では決まってないが。
2 犯収法第1条を読む
まず、犯収法の第1条をみてみる。
なお、理解と整理のため、引き抜いた条文については次の作業をほどこすことがある。
① 改行
② カッコ内の省略
③ ①、②、③といった文言の追加
④ 一部の省略
だから、ここに書かれた条文は条文それ自体ではない。
そこは注意して読んでほしい。
(以下、犯収法第1条を表示、適宜改行、強調や下線は私の手による)
この法律は、犯罪による収益が組織的な犯罪を助長するために使用されるとともに、これが移転して事業活動に用いられることにより健全な経済活動に重大な悪影響を与えるものであること、及び犯罪による収益の移転が没収、追徴その他の手続によりこれを剝奪し、又は犯罪による被害の回復に充てることを困難にするものであることから、
犯罪による収益の移転を防止すること(以下「犯罪による収益の移転防止」という。)が極めて重要であることに鑑み、
特定事業者による顧客等の本人特定事項(第四条第一項第一号に規定する本人特定事項をいう。第三条第一項において同じ。)等の確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を講ずることにより、
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)及び国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号。以下「麻薬特例法」という。)による措置と相まって、犯罪による収益の移転防止を図り、併せてテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の的確な実施を確保し、
もって国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする。
(犯収法1条終了)
上の条文は1つの文章で成立している。
な、ながい・・・。
1文章で500文字もある。
司法試験の論文式試験の答案(新旧問わない)の1ページの半分以上が埋まりかねない量である。
さて、500文字以上あるこの条文を理解するため、上のように5ブロックに分けてみた。
そして、各ブロックについて何が書いてあるかをみていった。
まず、一つ目のブロックでは、立法事実とその評価が示されている。
つまり、①犯罪収益は組織犯罪の助長に用いられる、②犯罪収益が移転されて事業活動に用いられれば健全な経済活動に重大な悪影響を与える、③犯罪収益の移転は、没収・追徴・被害回復を困難にする、と。
そして、二つ目のブロックでは、立法事実に対する結論が書かれている。
前述の①・②・③から「犯罪収益移転の防止が極めて重要である」と。
さらに、三つ目のブロックでは、何を実行するかが書かれている。
つまり、やることは、特定事業者による④顧客等の本人特定事項等の確認、⑤取引記録等の保存、⑥疑わしい取引の届出等の措置を講ずること、であると。
そして、四つ目のブロックでは、実行したことによって達成しようとする社会的事実が述べられている。
つまり、前述の④・⑤・⑥の措置と組織的犯罪処罰法と麻薬特例法による措置と相俟って、犯罪収益移転を防止し、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の的確な実施を確保する、と。
最後が、犯収法によってどのような法的評価を達成するか、が書かれている。
つまり、犯収法の目的は、国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することである、と。
こうやって実際に条文を操作して、分解して、整理すると、ある程度のことが分かるなあ。
全部の条文についてここまでやる予定はないが、何回か続けていこうと考えている。
それでは、今回はこの辺で。