薫のメモ帳

私が学んだことをメモ帳がわりに

マイケル・ムーアの演説に涙を流す

 約5年前、2016年のアメリカの大統領選挙の直前。

 マイケル・ムーアというドキュメント映画監督が「(2016年の)大統領選は、ヒラリー・クリントンではなく、D・J・トランプが勝つ」という趣旨のスピーチをしたことがあった。

 

 私がこのスピーチを知ったのは次のニュース番組を見たとき。

 このニュース番組「丸激トークオンデマンド」は、私が約15年前から見ており、私が長期間継続的に見ている唯一の「番組」でもある。

 

www.youtube.com

 

www.videonews.com

 

 このスピーチはかなり有名なので、知っている人もいるかもしれない。

 もう少し長いバージョンがないか探していたら、次の動画がヒットした。

 ただし、日本語訳はない。

 

www.youtube.com

 

 下の動画(番組のではない方)でマイケル・ムーア本人が述べた演説の要旨を私なりにまとめると次のとおりになる。

 なお、以下の要旨を作るにあたっては、別の動画(それには和訳が付いていた)やスピーチの文字起こし(英語)を参考にしている。改めて探したがリンクが見つけられなかったが、見つけたら追加で貼りなおす。

 

(以下、私の「意訳」である。言葉を省略したり、文章の順番を入れ替えた部分もある。「正確な訳」とは到底言えないので、その点は必ず注意すること)

 私は「トランプに投票しよう」と考えている人たちをたくさん知っている。でも、彼らは必ずしもトランプに賛成しているわけではない。彼らは礼儀正しい普通の人たちだ。

 ただ、私が彼らと話して思ったことがある(のでそれを話す)。

 トランプは大企業の経営者らを前にこう啖呵を切った。「デトロイトの工場を閉鎖してメキシコに移転したら、作った車に関税をかけてやる。そうなれば、車は売れず返品の山だ」と。驚くべき状況だった。かつて、こう言い放った政治家は民主党にも共和党にもいなかったのだから。

 オハイオに住んでるなら私の言いたいことが分かるだろう。トランプがガチかどうかは関係ない。でも、この発言はミシガン・オハイオペンシルベニアウィスコンシンの人たちにとって福音だった。トランプの発言が時代の変化により傷つき、打ちのめされ、忘れ去られた名もなき「没落した中産階級たち」を意識していたことは間違いない。

 人々にとってトランプは自分たちを押しつぶしたシステムに復讐するために待ち望んでいた人間爆弾なのだ。

 これまでこのシステムは人々からあらゆるものを奪っていっただろう。でも、そんな人たちでも一つだけ残っているものがある。行使するのに1セントも必要としない、アメリカ合衆国憲法が保障してくれた「一票」だ。

 彼らは金もなく、家もなく、これまでさんざんな目に遭ってきた。でも、投票ではそんな事情は関係ないし、チャラにすることだってできる。何故なら、大金持ちも没落して職がない人も持っている票は同じ1票だ。そして、没落した人の数は金持ちの数より圧倒的に多いのだから。

 だから、11月8日、人々は投票所に行き、自分を滅多打ちにしたシステムに復讐するために大統領を選択するだろう、ドナルド・J・トランプを。

 お偉いさんたちはトランプを嫌っているようだ。もちろん、メディアも。昔は支援していたくせに。でも、トランプは言うだろう。「ありがとう、メディアよ。あなた方の敵が私を投票してくれる」と。

 そう、11月8日、アメリカ人がみんなでこのシステムを叩きつぶしにいくのだ、自分たちの権利を行使して。

 トランプの当選により我々は人類史上最高の「くそったれ」を突き付けることになるだろう。お偉いさんにおいてはなんといいざまであろうか。

(終了)

 

 私がマイケル・ムーアの演説から受け取ったメッセージは要旨のとおりになる。

 この演説を聴いたとき、私は涙が止まらなかった。

 普段意識していない私の傷に触れたのだろう。

 

 この演説を聴いて思った感想は「すげーな」である。

 

 1つ目はこのスピーチの内容。

 心情的にトランプに投票しようとしている人たちの説明として的確であること。

 

 2つ目に合衆国憲法の威力。

「彼らは何もかも失った。でも、合衆国憲法が保障された選挙権が残っている」というように、絶望的な状況でも持ち出せる合衆国憲法に対して。

 

 3つ目はスピーチそれ自体。

 これは私がスピーチを聴く経験が少なく、私が疎いだけかもしれないが。

 

 さて。

 次に思ったことが、「政治に関するスピーチで、日本でこんなスピーチってあったっけ」ということである。

 確かに、私は時事に疎いので、「知らないだけ」ということは十分ありうる。

 ただ、残念ながら私は知らない。

 

 また、「日本国憲法のほにゃららがあり、どうこう」というスピーチってあったっけ、とも思った。

 こちらについては「明らかにない」のではないかと思われる。

 特に最近においては。

 憲法の力を信じている人間はほとんどいないだろうから。

(ただ、あったらコメント欄で教えてくれると助かる)

  

 トランプ大統領については様々な評価がある。

 しかし、それとは別に、このマイケル・ムーアの演説には感動した。

 その感動した事実を記録に残しておく。