今回はこのシリーズの続き。
「マネロン等対策の有効性検証に関する対話のための論点・プラクティスの整理」等について確認する。
「マネロン等対策の有効性検証に関する対話のための論点・プラクティスの整理」
(以下「ディスカッション・ペーパー」という。)
https://www.fsa.go.jp/news/r6/ginkou/20250331-3/02.pdf
「マネロン等対策の有効性検証に関する事例集」
(以下「事例集」という。)
https://www.fsa.go.jp/news/r6/ginkou/20250331-3/03.pdf
「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」
(以下「ガイドライン」という。)
https://www.fsa.go.jp/common/law/amlcft/211122_amlcft_guidelines.pdf
19 「マネロン等対策の有効性検証に関する事例集」について
前回まではディスカッション・ペーパーについて確認した。
このディスカッション・ペーパーを直接確認することによって有効性検証に関する輪郭が見えてきた。
なお、このディスカッション・ペーパーと同時に「マネロン等対策の有効性検証に関する事例集」が公開されている。
そこで、この事例集についても確認していくことにする。
まず、「事例集」の構成を確認する。
事例集の小見出しについて「章・節・項・号」等の番号を付けながら見ていくと次のようになる。
(以下、事例集の小見出しに対して「章・節・項・号」等の番号を付けつつ整理)
第1章 本書について
第2章 留意事項
第3章 事例集
第1節 マネロン等リスクの特定・評価に係る検証
第1項 考え方・着眼点
第1号 考え方
第2号 着眼点
第2項 参考事例
第2節 マネロン等リスクの低減策の整備に係る検証
第1項 考え方・着眼点
第1号 考え方
第2号 着眼点
第2項 参考事例
第1号 全般
第2号 顧客管理
第3号 取引モニタリング
第4号 取引フィルタリング
第5号 疑わしい取引の届出
第3節 マネロン等リスク低減措置の実施に係る検証
第1項 考え方・着眼点
第1号 考え方
第2号 着眼点
第2項 参考事例
第1号 全般
第4節 その他(検証主体や検証手法等)
第1項 参考事例
(事例集の小見出しの整理終了)
本書のメインは、「参考事例」が書かれているいわゆる第3章になる。
そして、第3章の部分は大きく4つに分けられている。
・ マネロン等リスクの特定・評価に係る検証
・ マネロン等リスクの低減策の整備に係る検証
・ マネロン等リスク低減措置の実施に係る検証
・ その他(検証主体や検証手法等)
この構成を見ると、参考事例もディスカッション・ペーパーと同様に考えることができる。
以下、具体的な参考事例を確認していくわけだが、参考事例の前にこの事例集に関する注意事項が書かれているようなので、先に、この部分を確認していくことにする。
20 事例集の「本書について」を確認する
この事例集は「本書について」という部分から始まる。
そこで、この部分を先に確認することにする。
その概要は次の通りである。
① 本書(事例集)は、ディスカッション・ペーパー(「金融機関等のマネロン等対策の有効性検証に関する対話のための論点・プラクティスの整理」)に記載している考え方を参考にしながら、金融機関等が有効性検証を実施する際に、金融機関等が参考できると考えられる事例を公表するものである。
② この事例集で公表されている参考事例は、金融機関等や有識者との対話等を通じて得られた実際の有効性検証の取組み事例を取りまとめたものである。
つまり、この事例集が有効性検証の内容を具体化したもの、ということになる。
とすれば、有効性検証の実施においてこの事例集を確認することは重要になるものと考えられる。
21 事例集の「留意事項」を確認する
「本書について」の次に続くのが「留意事項」である。
つまり、事例集の使い方に関する注意事項が書かれている。
以下、「留意事項」の内容を確認する。
その概要は次の通りである。
① この事例集は、有効性検証の目的・目線や想定される実施内容を踏まえて、金融機関等が参考にできる事例を整理したものである。
② この事例集に記載されているものは、いくつかの金融機関等との対話の中で把握した実態をもとに作成されている。
③ 金融機関等がこの事例集に書かれた参考事例に取り組んだとしても、その金融機関等におけるマネロン等対策の有効性検証が十分に実施されたことの根拠になるわけではない点に注意する必要がある。
④ 金融機関等における有効性検証は、自身が直面しているマネロン等リスク等も踏まえて実施されるべきものである。
⑤ 金融機関等が事例集に記載された参考事例を実践していないことは、その金融機関等における有効性検証が不十分であることの根拠になるものではない。
⑥ この事例集は、各金融機関等が有効性検証を実施する際の参考として使用することを想定しているに過ぎない。
⑦ 金融庁は、この事例集をチェックリストとして活用し、この事例集に記載している参考事例について金融機関等が実践しているかを判断することを想定していない。
⑧ 金融庁は、金融機関等との対話においても、本事例集をチェックリストとして活用し、この事例集に記載されている参考事例について金融機関等が実践しているかの確認を実施するといったことを予定していない。
⑨ 金融機関等は、事例集に記載された参考事例についてチェックリストのように自身の実施状況の有無の確認といった使い方をすべきではない。
⑩ 金融機関等は、この事例集について、次に掲げる事項を検討する際の参考例として活用すべきである。
・ 有効性検証を実施する際の体制整備
・ 有効性検証の検証範囲
・ 有効性検証の検証方法等
⑪ 今後、金融機関等との対話等において参考となる事例があった場合、公表可能な範囲でこの事例集に追加していく予定である。
強調されているのは、次の2点であろうか。
・ 本事例集はチェックリストとして活用すべきではない
・ 本事例集は参考例に過ぎない
ディスカッション・ペーパーにおいては、「チェックリストとして活用するだけでは足りない」という感じがしたが、この事例集の記載からはこのような感じがしない。
これは私に何かが足らないからであろうか。
これについては事例集を見ながら検討してみる。
次回から、有効性検証に関する具体的な事例についてみていく。